京都で制作活動を行い、名古屋では初個展となります西山裕希子の作品をご紹介致します。
日本の伝統的な染織技法である「ろうけつ染め」で描かれた繊細な線描には、
シンプルな表現の中にも高貴で優美な世界を堪能できます。
アーティストステートメント
人の精神には、自己の存在を形づくる輪郭や領域といったものが存在すると考えています。しかし自己と他者の間にある精神的距離はときに境界が曖昧になり、混乱を引き起こす事も少なからずあり、私はこのような人々の間にある精神的距離の曖昧さや緊張、揺らぎや不安定さとは何なのか関心を寄せています。この関心をもとに、人々の間にある精神的距離、その中での他者へのイメージの投影や同一化、その交錯した状況をストーリー性のある場面、言い換えればナラティヴに置き換えることで、普段と異なる角度から世界を捉え直し、人の姿を描いています。
とくに近作では意識的に女性の姿を描いています。女性の姿は、たとえば神話に登場する女神や寓話的な女性など、象徴的な図像イメージを与えられ絵画に様々な形で表されてきました。また、こうした絵画の伝統的モチーフとしての女性像は手工芸品にも図像として用いられ、社会的背景も含め「手工芸をする女性の姿」は絵画にも描かれています。私はこのように女性像が領域を交差する事に関心を持ち、女性の姿を共通項に染色技法を用いて描いています。
これらの関心と手法をもとに、人々の間にある精神的距離に対するナラティヴと、歴史上の寓話や物語それをもとに描かれた絵画との間に共通するイメージについて考え、現実の中で様々な関係性が複雑に交差していながら、それらが表層的な重なりである為の危うさや緊張感をもった、人の精神を反映する女性の姿を描こうとしています。そしてこれらの作品が、眼前の世界に起きていることを映す鏡のようになればと考えています。
|