アーティストステートメント
10代の終わり頃から、毎日の日記の代わりに画像を集めるようになりました。
その対象は、自分で撮影した写真や友人が旅先で撮った記念写真、または誰が何のために撮ったのかわからないようなものまで様々ですが、一定のテーマを設けて、ことさらモチーフを選ぶようなことはそれほどありません。
記憶を機械に預けることに慣れてしまったせいで、展示の準備をする頃には、それぞれの画像に用意されていた意味や奥行きは、すっかり失われてしまっていることもしばしばです。
そういったデータの中から、展示の条件にそった画像を発見することが制作の多くを占めています。
制作のなかでは、たちまち気配になってしまうような、インデックスがつくことのない、うつろいの小さなことに目を向けます。そこで大切なことは、感覚を微細にし、そしてそれをそのままに記憶することです。おおざっぱな名前を与えて、その内実を忘れてしまってはいけません。
今回の展示は、平面上にあらわれた情報―たとえばテレビの映像(とりわけその背景)やプリントされた写真―を撮影した画像を中心に構成しています。
選び出されたひとつひとつの画像は決定的な強度を持たず、いつも曖昧で、いくつかの画像と意味を補完しあい、また打ち消しあうことで、ようやくわずかな奥行きをたたえはじめます。
人が何かを見るとき、フォーカスされた対象の背後に、焦点の合わない空間として背景は生まれます。いつも視線の傍にありながら、けして触れることのないその空間を、誰かのまなざしを借りながら眺めました。 |